「ホーボー・ソング」試聴音源をUP

さてさて、今回で第1作品集『風邪をひかない』に関して書くのは最終回。しばし篭ります。来年くらいにまたこんな感じの紹介をするかも知れないし、もしかしたら来月あたり何食わぬ顔で新曲を携えて出現するかも知れないですが、とりあえずは1段落。最後は「ホーボー・ソング」という曲について。


ホーボー。ふらふらと方々をさまよう人。フーテン(漢字にすると格好いい、瘋癲)、ヒッピー、季節ごとに働く場所を変える労働者、等等、意味合いは様々。「ホーボーというのはね、浮浪者ということです。」とラジオでさらっと説明していたのはピーター・バラカン氏。うむむ、ばっさりいくなあ。


そんなにばっさりとはいけない「ホーボー・ソング」は、意味というよりも「ホーボー」という音から先にできた歌だったような。「ホゥ、ボゥ」とゆっくりと発音したときの、ちょっとひょうきんな感じ。「ホゥ」と口に出したあとに濁音をそっと加える「ボゥ」だけで言葉ができる心地よさ。


それを繰り返しているうちにしっくりとくる和音進行ができてきて、歌のような形がノシっとでてきた。そこから「ホーボー」を題材とした作品を熟読玩味、歌詞もできてきたという次第。「ホーボー」という言葉が憧れやら蔑みやら郷愁やらいろんな感情を持たれやすいからか、そんな作品はいろいろあった。


例えば、ボブ・ディラン(や高田渡)の師匠、ウディ・ガスリーの「ホーボーズ・ララバイ」。それを和訳して郊外型の叙情をくわえた岩井宏の「ホーボーズ・ララバイ」。漫画では永島真一『フーテン』。あ、あと『男はつらいよ』の寅さんも、私の中ではホーボーなんだよなあ。故郷はあるけど、あるがゆえにぶらぶらしちゃう。


故郷を捨てる正統派(?)のホーボーは良寛和尚と、映画『真夜中のカーボーイ』にでてきたラッツォ。あとはジャック・ケルアック『路上』だったりと。そんないろいろのホーボーの系譜の末席に「ホーボー・ソング」が、あるんじゃないか…あればいいなあ…。というわけで、「ホーボー・ソング」。どうぞ聴いてみてください。