55ステーション阿佐ヶ谷南店とリアル真夜中のカーボーイ

今日はこないだ更新した動画、「第1作品集発売予告」についてちょっとばかり。あの映像の0:23に一瞬だけ写る、シャッターの降りた55ステーション。あそこに立つと、胸騒ぎというか、妙な気分になる。20代前半、阿佐ヶ谷にほんの一瞬だけ住んでいたので。あれこれありすぎての、無職だった。 

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家賃6万円ちょっとの早稲田通りにあるマンション(という名義の寂れたアパート)。エントランス(というか裏口しかなかった)への脇道にはビニ本の自販機が燦然とならび、1階すぐ横には焼肉店、通りのはす向いには行列のできるラーメン店という極めて紳士的な立地で、神経質に引きこもっていたのだ。

 

貯金はほとんど無い。とりあえず職を探すために近所のパール商店街へ。まだ携帯電話で職探しという時代では無かったので、それこそ求人情報誌を読みこみ、店の前の貼り紙を夜中にとぼとぼと見回ったりしていた。リアル真夜中のカーボーイ高田渡でいうところの「失業手当」から「仕事さがし」。

 

そこでたまたま見かけたのが、55ステーションのシャッターに貼ってあった求人チラシ。よほど急を要していたのかすぐに採用。少し年上の女性の店長が友達感覚で接してくれてありがたかった。仕事は依頼されたフィルムを機械で現像、プリントをすること。

 

そこで今でも印象に残っているお客さんは、例えば、、やたら自分の水着着用写真を焼き増し依頼してくる10代の女性-ギャルだが可愛い(店長は激怒してた)。依頼してくる時はスーツを着たサラリーマンなのに現像するとは陰毛がはみでたパンティーを履いた安ホテルにいる男(恐らく本人)という50代のおっさん(店長は達観してた)。

 

衝撃的だったのは髪を振り乱して奇声をあげながらインスタントカメラの現像を依頼してきた高齢の女性。ほぼ毎日来るのだけど、現像すると決まって、歩きながらカメラを振り回して適当にシャッターを押したような、アヴァンギャルドな内容が36枚立ちいでてくるのだった。応対する店長は少し寂しそうな顔をしていた。

 

仕事内容は楽しかったけれど、駅前の西友で買いだめした30%オフの冷凍食品と米のみという食生活が偏っていたのか、はたまた先の見えない焦燥感からか、1年ともたず栄養&自律神経失調気味となり、あえなく都落ちしたあの日…。0:23に写る、シャッターの降りた55ステーション阿佐ヶ谷南店。

 

今回「真夜中のカーボーイ」のPV撮影で10年振りに通り過ぎてみて、ちょっと色々思い出したのでした。フワッフワしていたような、やたらと焦っていたような…。そんな感覚はPVにはさすがに反映されていないですが、まだどこかでリアル「真夜中のカーボーイ」的な感覚がくすぶっていたりも、するような。。